VOICE



午後5時半。そろそろライブハウスの外が騒がしくなってくる時間。オープンが6時、スタートが6時半。

狭い控え室の中、出番がまだ先の私たちは片隅でのんびりとしていた。

海斗はウォークマンで今日演奏する曲を聴いてるし、紅志はギターを手にジャカジャカ掻き鳴らし、珪甫はスティックをくるくると回したり足でリズム取ったりしてる。

私はみんなに悟られないように、そっと左腕を押さえた。

いったぁ。なんかさっきより腫れてきたかも。ヤバい。

一瞬顔をしかめたのを見られたのか、珪甫が怪訝な顔でどうかした?と私を見たけど。

「ううん、何にもない」

私はさりげなく笑って答えた。
お願いだから気付かないで。そう願いながら。

そんな私の思いが報われたのか、珪甫はふぅん、と興味無さそうにまた目線を自分のスティックに戻した。