「PRISONER of VOICE」

「プリズナー……」

私の口にした言葉を小さく繰り返し、海斗は少し考える様子を見せた。

だ、ダメかな……とっさに出ちゃったけど。

沈黙が部屋の中を満たす。私が何か言わな気きゃ、と口を開きかけたその時。沈黙を破ったのは。

「いいんじゃね?それ」

寝ていたはずの紅志の低い声。

「え!起きてるし!ていうか、い、いいんですか?」

私は目を丸くして、ソファに深く沈み込む紅志を見つめる。そしたらニッと口角をあげて頷いた紅志。

「声の虜、もしくは声の奴隷ってとこ?」

「あ、はい!そう!虜です、海斗の声聴いたら絶対忘れられないと思うんです、また聴きたくなって仕方ないっていうか……まさに虜になっちゃう感じで!」

私は少し興奮しながら紅志に向かって話した。
そしたら横からポツリ、海斗の声が聞こえた。

「え?今の英語、そういう意味?」

あん?

私は信じらんない思いで海斗を見た。

「意味わかってなかったの!?」

「うん、全然」

おぅのぅ……。

「それでも大学生か、あんたは!?」

「だって俺、理系だもん。英語嫌いだもん」

頬を膨らませて言う海斗に、私も紅志も苦笑い。

……はいはい。