「紅志、そろそろ中に戻ろう!海斗たち待ってるし!」
裏口へ戻った私は、登と話している紅志に笑顔を向けた。出来るだけ左腕を見せないように、紅志の左側に並ぶ。
「あ、あぁそうだな。じゃあな、登も葵ちゃんもライブ楽しんで」
「うん、頑張ってね岡崎さん。それから……負けんなよ、歌夜」
ちらりと心配そうな視線を私に送ってきた登に、私は小さくピースサインを返し、紅志の背を押しながら裏口へと足を踏み入れた。
とにかく、このライブが終わるまでは、気付かれないようにしなきゃ。
それに絶対、泣かないんだから!!
目の前を歩く紅志の背中を見つめながら、私は、そんな小さな目標を立てていた。



