「ふん!くっだらない!」
仁王立ちになった登は鼻で笑って振り返った。
「あ、ありがと」
「ていうかアンタ!なにやられてんだよ?!強いくせに!」
「いや、いきなりだったから油断してて……」
私は登の剣幕にビックリして思わずごめんなさい、って謝ってた。
なんで謝ってんだ、私?
「歌夜、腕、大丈夫なの?殴られたんだろ?」
肩を支えてくれてた葵が私の顔を覗き込んで心配顔。
「ん、平気へいっ……いたたっ……!」
「ちょっと!大丈夫?!やだ、腫れてんじゃないの?!」
見れば二の腕の肘に近い辺りが、赤くなって少し腫れてきてる。
「……っ、あの女たち一発くらい殴っておけばよかった!」
私の腕をそっと撫でながらも、葵の顔は険しい。
「アイツら見たことある、よく路上ライブで見かけるよ。……歌夜、たぶん紅志と一緒にいるとこ見られたんだよ。……敦士ってやつといい、ファンといい……アンタ大丈夫?」
登の真剣な声に、私は目の前がぼんやりして……。
泣くなっ!
私は心の中で叫んでた。
こんなところでこんな時に泣いてる暇なんてないのに……!



