このバンドの雰囲気を伝えられる名前がいいな……。
私は初めて海斗の歌声を聴いた時の事を思い出す。あの無色透明の声。どこまでも響いて、広がっていくような声。
そして紅志のギターが重なった瞬間の極彩色の音。
その歌を、音色を聴いたら誰もが魅了されて逃げ出すことのできない。二度と忘れられない声。まるで海斗の声に囚われたみたいな………!!
「あった!ぴったりの名前!!」
私はガバッとソファから立ち上がった。その反動で隣の紅志がガクンと揺れたけど、気にしない。
「え?なに?どんな名前?!」
海斗が目を丸くして私を見上げてくる。私はその焦げ茶色の瞳をジッと見つめ、口を開いた。



