VOICE



それから一週間の間、私達はライブで演奏する曲目をチョイスし直して、ドラムのパートを少しでも珪甫が叩きやすくなるように書き直し、練習して練習して、しまくった!

もちろん珪甫はライブ当日まで右手にはスティック厳禁。右手だけエアドラム。

珪甫の腕の傷は三日で抜糸が済んでなんとか治りかけていたけど。

「ねぇケイ。ホントに叩いても平気?無理すると傷口が開かねえ?」

まだ白い包帯が巻かれたままの、珪甫の右手首を心配する海斗だったけれど、彼はニッと笑みを浮かべてカタカタと左手でドラムを鳴らす。

「こんな傷、ちょっとくらい開いたって平気だって。俺のこと甘くみないでよね」

いつも通りの生意気な口調で答えた珪甫の様子に、海斗もそれを見てた紅志も顔を見合わせて肩をすくめて苦笑い。

「さすがだなぁ~珪甫、やっぱり紅志に惚れてるだけあるよね~」

「は?」

意味が分かんないって顔をした珪甫に、海斗がニマ~ッと笑った。
私も一緒にポカンとして海斗の顔を見つめた。

惚れてるって、なんすか?!