グルグルに巻かれた包帯を目にしてまた目頭が熱くなってきた。止まらない。
あぁっ、くそぅ!泣きたくなんかないんだよ私は!
怒ってるんだよ!
でも珪甫の気持ちはすごくよく、分かる。怪我してたって、無理してでも叩いてアイツらを打ち負かしたいって気持ち。よく分かる。
「叩きたいんだよ、俺」
珪甫は真っ直ぐに私の目を見返した。
その瞳は真剣で、絶対に引かない、っていう珪甫の意志がありありと浮かんでる。
ああ……もう!
止まらない涙をそのままにして私は海斗と紅志の顔を振り返った。
「海斗!紅志!」
いきなり名前を呼ばれた海斗達は戸惑った様子で私を見て。
「なに、歌夜」
紅志が落ち着いた声で聞き返した。その表情は私の考えてること、全部分かってるぞって顔だったけど。
私はスウッと深呼吸を一つして、一拍おいてから口を開いた。
「やろう、ライブ。一週間後のライブ、出よう」



