「うん」
紅志の問い掛けに、海斗が小さく頷いたのがわかった。
「もうバカなことしねぇか?」
「しない。ごめん」
顔を上げ、紅志の目をちゃんと見て海斗は答えた。
「けどアイツら、マジで有り得ねぇ。シメにいきてぇ……」
怒りの矛先はもちろんBLACK NOISE。海斗は低い声で呟いて立ち上がった。
「海……」
「待った。仕返しなんて、バカなことすんなよ。俺、叩くからちゃんと」
紅志の言葉を遮って、珪甫が海斗を見上げた。その目にはさっきの弱々しさは欠片も浮かんでいなくて、闘志に燃えてる瞳だけがあった。
「なに言ってんの?!そんな……一週間で何針も縫った傷が治るわけないじゃん!?無理だよケイ!」
私は思わず大声を出して珪甫の腕にそっと触れた。間近で見るとますます痛々しい。
こんな手首でスティック振ったら……ダメだよ。



