VOICE



目の前でゆで卵、サイダー、ゆで卵、サイダーを繰り返し口に運ぶ海斗を見つつ、私はぼんやりバンド名を考えた。

バンド名ね……ていうか気持ち悪。

サイダーと卵が合わさった味を想像してしまった私。気分を変えねばと、隣にいる紅志を見れば。

「寝てるし!!?」

さっすが海斗とバンドやるだけある。やっぱり普通じゃない。

「普通、バンド名考えようって時に寝るかなぁ……」

呟く私に、卵を食べ終わった海斗が言った。

「紅志ね~どこでもすぐ寝ちゃうんだよな、疲れてんだよ大学とバイトでさ」

「へぇ~バイトって岡崎さん何やってんの?」

「さあ。俺にも教えてくんないんだよなぁ、あんまり言いたくないみたい」

海斗は口をとがらせて、紅志を見やる。

「嫌われてんじゃない?」

私は思わず意地悪な調子で言ってやった。そしたら。

「むっ!そんなことない!」

プリプリして海斗が言い返してきた。

面白い……。