7月に入って最初の土曜日。
相変わらず路上ライブをして、暖かくなった体を木陰で冷やしてた私たちの前に、立ちはだかった影。
見上げればそこには、いつもどおりの登の姿があった。
「あれ、登じゃん。どったの?」
海斗が笑顔で話しかけるけれど、どこか深刻な表情で彼は私たちの前でしゃがみ込んだ。
なんか、いつもと違う?
「なんかあったの、登?あ!まさか、また学校でなんかされた?!」
私は心配になって思わず声を荒げてしまう。
でもそれを、首を振って即座に否定した彼は、ヒソヒソ声で私たちに囁いた。
「みんな気をつけてね、なんか最近PRISONERファンじゃない奴らが路上ライブに混じってて。怪しいんだ。特に歌夜、あんた狙われてるかも」
は?
「な、なにそれ?どういう!?」
「しっ!!声小さくしてよ。いい?さっき歌夜たちが演奏してる間にさ……」
登は周りに聞こえないように小声で、信じらんないようなことを話し出した。



