―――それでも。
そんな曖昧でおぼろげな小さな目標でも。

私達はそれに向かって少しずつ動き出した。



私の進路なんて、まだまだはっきり見えてないんだけど、彼らと1秒でも、2秒でも長く音を出していたい。


それが今の私の目標。


かな。


バカじゃない?って言われるかもしれないけど。


海斗のあのクリアな歌声と、紅志の鋭いけれどどこか安心するギターと、しっかり私達を支えてくれる珪甫のドラム。

それさえあれば、なんでも出来る気がしたんだ。


だから例えどんな事があっても私達は大丈夫だと。
思ってたんだ――。