VOICE



「はい、ストップ」

海斗の口を大きな手のひらが塞いだ。
気付けば頭を寄せてしゃがみ込んでる3人の輪の中に、紅志も頭を突っ込んできた。私と海斗の間に。

「ん~っ!まにむん……っ、ふぉ~っひ!」

口を塞がれてる海斗はもごもごとなにやら叫んでる。

「海斗、お前今、軽~くプロになろう、とか言おうとしただろ」

落ち着いた低い声で言いながら紅志が目を細めて海斗を睨んだ。

「ぶはっ!!なに、言っちゃダメだった?」

口を覆う手をひっぺがして、海斗は疑問の声。
その台詞に、紅志は手にしてた煙草を携帯灰皿へ押し付け、溜め息をひとつ。

「お前なぁ」

紅志はしゃがみ込んでる私達の顔をゆっくり見回してから、これまたゆっくりと話しだした。