「わ、わからん」
私がボソッと呟くと、カクン、とまるでコントみたいに海斗の肩が下がる。
「だ、だって!私もみんなと一緒にこうやってバンドで音が出せてたら満足だったから。これからもずっと同じようにやれたらそれでいいし……」
「それはつまりさ、このままバンドを続けたいってことだろ?だったらさ、どうせならさ、上まで登りつめてやりたくねぇ?」
迷いながら言葉を口に出した私に、即座に珪甫がつっこんできた。
「上、まで?」
「そう。ライブやって、音源出して、ファン増やして、デビューして。んで音楽界のトップに登りつめる。どう?」
いままでに見たことないくらいキラキラした瞳で語る珪甫が、そこにいた。
「ケイ、輝いてるね……」
「は?目が悪いの?」
ギロリ、しらけた目で一蹴された私は唇を尖らせ、海斗をチラリと見た。
……ゲッ。
珪甫を見つめたままの海斗の顔が、すっごくニコニコ顔になってる。
目の中になんだか星が見えそうな勢い。
なんか、なんか……すごくヤな予感。
そして案の定、海斗が口を開けて何かを叫ぼうとした瞬間。



