VOICE



「忘れてたよ~っっ!!プロになるの?!え?なに、みんなどうなの?!」

その場で頭を抱え、しゃがみ込んだ海斗。

「いや……訊いたの、私」

私は同じく海斗の前にしゃがみ込んでみたりする。

「プロ……いや~俺はただ音楽さえやれたらそれでいいと思ってたからさ」

「私も。父さんに言われるまで気にしてなくてさ」

二人でスタジオのど真ん中でしゃがみ込んで、床を見つめながら話す私達の間にピョコンとツンツン頭の珪甫が顔を突っ込んできた。

「なに?もしかして誰もそういうこと話題にしたことねぇの?」

呆れた顔の珪甫が両手で頬杖をついてしゃがみ込む。

「うん。プロのプの字もでなかったよ……」

私が珪甫を見ながら言うと、彼は呆れた笑顔で。

「マジでかよ、俺はてっきりみんなプロデビュー目標にやってんだと思ってたけど」

「そ、そうなの?!」

知らなかった、珪甫がそんなふうに考えてたなんて。

「なぁ歌夜。歌夜はどうなの?珪甫と同じでプロになりたい?」

海斗が顔を上げて真正面から見つめてきた。

うぉっ!ナイスアングル!!

じゃなくて!!

「私は」

言いかけたものの、私は後を続けられなかった。
だってホントにわからなかったから。