「……ねぇ、一つ訊いていいかな?」
練習日、スタジオで音を合わせてる合間に私は海斗たちに話し掛けた。
ペットボトルのコーラを飲んでいた海斗が、なに~?と間の抜けた声を出す。
紅志や珪甫も私の方を見ていた。
「あのさ。私たちって……プロ、目指してたり、するの、かな?」
思わず躊躇いがちに声が出た。
そんなわけないって笑い飛ばされたらどうしよう、とドキドキする。
それとも逆に、当たり前だって呆れられるかな?
…………。
私の質問に、海斗も紅志も、珪甫も無言。
ちょっと、誰か答えてよっ!
「あの~?」
あまりに長い沈黙に耐えきれなくて、私がもう一度声を出そうとしたその時。海斗がポツリ、言葉をもらした。
「………た」
「え?なんて?」
聞き取れなくて私がもう一回聞き直すと。かなり間抜けな声で海斗は言った。
「忘れてた」
忘れてた?
「海斗、それはどういう意味で?」



