長い、長い沈黙だった。
それに耐え切れなくなって、先に口を開いたのは私。
「や、やっぱり、だめですよね?私のことなんて、別に好きでも何でもな……?!」
ふわり、柔らかい感触が唇に触れた。
ソファから立ち上がった紅志の、細長い人差し指が、私の唇に触れていた。
「……っ!!?」
心臓が破裂しそうになってる!
そんな私の目の前で、紅志の口が動いた。
「俺のこと、忘れるなんて、言わないでくれる?」
「は……?」
「音楽やってるときだって、俺のことは見てて欲しいんだけど。もちろん、それ以外の時も」
そう言って彼は、唇を微笑みの形にかえた。



