VOICE



「……いや、でもそれは~。ありだろ?!いや、ないない!だって……。でも待ってよ、あの時は……うん、そうだよなぁ~」

「歌夜?誰としゃべってんだ?」

「あ。葵、どしたの?」

放課後、まだ教室に残っていた私の真ん前に葵がいきなり顔を出した。

「どうしたじゃないよ。さっきからあんた変な人だけど?」

「へ?もしかして、今の声に出てた?!」

「がっつり聞こえてましたが?」

呆れ顔の葵が私を見ながら肩をすくめた。

「なんかまた最近、前にも増して様子が変だけど、大丈夫か?」

「へ、変なんて……そ、そんなに、変?」

「変だね」

彼女は人差し指を立て、私の目の前に差し出した。その目が全てを吐け、って言ってる。

まあ葵になら話してもいいか。

「いや~実はさ……」

私は葵に、今私の頭を悩ませている数日前の海斗と紅志の会話を説明することにした。