VOICE



そう紅志が告げると、海斗がにっこり笑って頷いた。私もつられて笑顔になる。

「なんかいいな」

「え?」

ぽつりと呟きがこぼれた私を海斗が振り返った。

「いや、やっぱり海斗達、仲良しでいいなって」

海斗も紅志も、お互いのことやバンドのこと、すごく大事にしてるんだっていうのが分かる。
もちろん私だってバンドのみんなが大好きで、大事だけど……この二人の間には入れない何かがあるような気がする

やっぱりこの二人、羨ましいな。

「んも~っ!妬けるなぁ二人ともっ!そこらのカップルよりアツアツだよっ!!」

私は少しだけ重い空気を変えようと、そんなことをふざけて言ってみた。

そしたら海斗が、紅志の腕をとってわざとらしくもたれかかった。

ぎゃ!キモい!!

「だっろー?!俺、紅志がいなきゃダメだも~ん!」

「なっ、気色悪ぃことぬかすなバカっ!」

「照れない照れない!紅志だって惚れてるだろ~?俺の声と……歌夜に!」

海斗がニヤニヤしながら紅志をからかうように舌を出すと、珍しく紅志の顔が真っ赤に染まった。

「ばっ……っざけんな!何言ってんだテメッ!シメるっ!!」

「ははっ!顔が茹で蛸っ!はははっ」

狭い部屋の中、私の周りをクルクルと逃げる海斗と追いかける紅志。

「ぷっ!マジで仲良し」

私は二人を見てゲラゲラお腹を抱えて笑い転げた。
ホント、 いいコンビだこの二人!