私は勢いよく頭を下げて謝ってた。謝るしか出来ないと思ったから。
「歌夜、お前が謝ることじゃない」
紅志の柔らかい声が降ってきた。それと同時にポンポンと頭を撫でられる感触。
ソファから立ち上がった紅志と、腕を組んだままの海斗が私を見てる。
「そうだよ、歌夜。歌夜せいじゃない。悪いのは、……紅志だよ」
一瞬、苦しそうな表情を見せた海斗が、いきなり紅志の腕を掴んだ。
「いって……」
「海斗!?」
顔をしかめた紅志の腕を離すことはせずに、そのまま海斗は話し出した。
「オマエさぁ、そんなことくらいであんなくだらないヤツとケンカなんかすんなよ!」
少し苛立った様子の海斗に紅志はキッとキツい視線を向けた。
「そんなこと?何が?」
抑えた低い声が怒気を含んで、冷たい。
ちょっとやめてよ!
私は心の中で叫んでた。ここでまたケンカなんて、してほしくなかったから。
でも、口を出せる雰囲気じゃなくて、私はただ二人を見てることしか出来ない。



