「ちょっ!紅志、何それ?!!」
「わっ!どどどうしたの?!」
海斗の散歩に付き合った流れでいつもの練習部屋までついてきた私と海斗を待っていたのは。
「別に、ちょっと転んだだけ」
そういって素っ気なく答えた紅志。
だけど。
「か、顔がっ!紅志の綺麗な顔が!」
海斗が叫ぶ。
「いや~っ!!なんで!?」
私も叫んだ。
だって!紅志の顔、唇が切れて青くなってるし、右目の横も痣ができてる。どう見たってケンカだよ、これ。
「転んだなんて、んなわけねぇじゃん!どうしたんだよ、これ?!」
海斗が紅志の顔を覗き込んで心配顔。幾分か怒りを含んだ眼差しを見せながら。
「……アイツに、会ったんだよ」
「アイツ?」
紅志は俯いて、唇を噛んでた。何かを抑え込むように静かに、低い声で答えた。
「敦士だよ、BLACK NOISEの」
敦士!?
この前私に乱暴なことしたアイツだ。



