VOICE



「ごめんごめん。ちょっとからかっただけ、許してよ歌夜!ね?」

両手を合わせ、屈みこんで私を見る。上目遣いで。その顔といったら。

か、可愛いっ!!心臓に悪い!

「わ、分かった!分かったから!」

「ホント?良かった~」

にっこり笑った海斗は元通りに歩き出した。

ったく、なんでこんなにガキっぽいんだか。

私はチラリと海斗の横顔を盗み見る。そしたら海斗もこっちを見てた。

「な、何?」

びっくりして私が聞き返すと、海斗は私の顔を覗き込むようにして口を開いた。

「元気、出た?」

その目が意外にも真剣で、本気で訊いてるんだって分かった。

「え、なんで?」

戸惑った私は目線を泳がせながら聞き返した。

「なんか最近、元気なかったからさ~、ちょっと気になったわけ。俺バンドのキャプテンだし?」

くすりと苦笑いして海斗は私の数歩前に出て振り返る。そのまま後ろ向きで歩き続けた。

あぁ、だからそんなこと聞くんだ。
私の心配してくれてたんだ。