「あのさぁ、ちょっとは周り気にしたら?あんたの声デカすぎて話が全部丸聞こえなんだけど」

口調と真逆の見た目の登。ヒラヒラふわふわレースなゴシックロリータ小僧が呆れ顔でそこに立っていた。

「なんでいるの?!てかなんで聞いてんの?!」

私の問い掛けをスルーした登は、私の隣に腰を下ろし葵に話し掛けた。

「あなたは歌夜の友達?」

「そうだよ。まあ親友だね」

葵が苦笑いで答えた。

「へぇ、苦労するでしょ?」

「するする!」

……私は無視か~いっ!!

葵と登が何故だか話に盛り上がってるのを横目に、私は一人、窓の外をボーっと眺めた。

このファーストフード店は2階に飲食スペースがあるから、当然ながら通りを見下ろすことになるんだけど、そんな街の雑踏の中に、知ってる顔を見つけてしまった。

「あ……」