「…………」
なにやらフリーズしてしまった紅志と、私の間にまたも沈黙。
私……なんか変なこと言っちゃった?!
途端に不安になった私は、目の前の紅志の様子を窺いつつストローに口をつけた。
すると突然。
紅志が笑い出した。
しかも、今までに見たことも聞いたこともないくらいの声を出して大笑い。
ど、どうしよ!?なんで笑ってんの?!
開いた口が塞がらないまま、私は目の前で笑い出してしまった彼を、ただ見てるしか出来なかった。
そうやってしばらく笑い続けた後、突然ピタリと笑うのを止めて、紅志はジンジャーエールを一気に飲み干した。
ウソ~?!炭酸なのに!?
空いたグラスをテーブルに勢い良く置いた後、空になったそれを見詰めたままボソッと呟いた。
「そうだよな」
「え?」
「歌夜の言う通りだ、バンド内で恋愛してる暇なんてねぇよな。俺達には……俺には、恋愛なんて必要ねぇ、よな」
ふっ、と苦笑いをした紅志の顔が。
なんか、泣きそうな顔してる?
「岡、崎さん?大丈夫ですか?」
心配になって紅志の顔を覗き込もうとした私を、片手を上げて制した彼は言った。
「わりぃ、ちょっとコンタクトがズレた。トイレ行ってくるな」
そう言って顔を伏せたまま、紅志は御手洗いへと姿を消してしまった。
後に残された私は、その後ろ姿を見送りながら首を捻った。
「岡崎さん、コンタクトレンズしてたっけ?」



