VOICE



―――スタジオ貸し出しの時間が終わり、私達は楽器の片付けをし始めた。その時。

「歌夜、この後ちょっと時間ある?」

声を掛けられた。

振り返ったそこには、ぎこちない空気を纏って立ってる紅志がいた。

あ、まただ。

数日前に見せた、少し怒ってるような硬い表情。

また、あの不安が胸の奥からじわじわと込み上げてきた。

な、なんだろ?

「あ、うん。今日は特に……」

「じゃあちょっと付き合って」

「あ、はい」

いつになく緊張して、私は急いで片付けをした。

そんな私と紅志の様子を、海斗が静かに眺めていた。