「いやあの、ね。私ってさ、ケイとちゃんと話したこと、あんまりないなぁ……なんて思って、さ」
焦って答えた私に珪甫の反応は。
「話す必要、ある?」
つ、冷たい!
「なっ!?それむちゃくちゃヒドくない?!」
「そう?だって、歌夜のことなんて、見てたらわかるし」
しれっと言い、珪甫は微かに笑って私を見た。
「単純で天然で鈍感」
スティックで私を指して。
ムカッ。
「何それ?!私がバカでオッチョコチョイで鈍いってこと?!」
ムカついた私は珪甫の正面まで行って、睨んでやった。
「あ、スゴい。正解」
いきなり笑顔で頷いた。100%作りものの笑顔で!
私は我慢出来ずに、ドラムセット越しに珪甫の胸ぐらに手を伸ばしかけた、けど。
「わ!何やってんの?え?喧嘩?!」
知らないうちに海斗がスタジオのドアを開けて、こっちを見てた。
その後ろには相変わらずクールな様子の紅志も立ってる。
私の手は勢いを削がれて、空をきった。
そしてそのままハイハットに命中してしまった。
ガシャガシャン!
「うひゃっ!?」
派手な音を立てたことに、叩いた私自身が驚いて飛び上がってしまった。それを見て、海斗は大笑い。
そんな海斗を見ながら、その頭を小突いてスタジオの中に入り、苦笑いを私に見せた後ギターの準備を始める紅志。
珪甫はまたいつもの無表情に戻って紅志に話し掛けている。
私はそんな3人をむくれながら見つつも、ふと気付いた。
あ……なんか心配してたよりもいつも通りだ……。海斗も紅志も普通だし。良かった。



