VOICE



「ねぇ。歌夜はさぁ、音楽が好きなんだよね?」

「好きだよ」

「じゃあバンドのみんなも好き?」

「そりゃ好きに決まってんじゃん」

登の急な質問に答えながらも意味が分からなかった。
登はすでにパフェを半分まで食べ終わってて、私をじっと正面から睨みつけるように見つめてくる。

「じゃあさ、聞くけど。海斗が好き?」

……は?

私は食べていたプリンを吹き出しそうになって、慌てて口を押さえた。

……海斗が好き?

「好き……って、そりゃあ大事なバンド仲間だし」

「そうじゃなくて。個人として。つまり!恋愛対象として好きなの?って聞いてんの!」

今度こそ本当にプリンを吹き飛ばした!

「なっ?!きったね!何してんだよ~!」

男の子の声で怒鳴る、ゴスロリ姿の登を見て店内の客達が目を丸くしてる。え?あの子女の子じゃないの?!みたいな雰囲気だ。

でも、本人はそんなの気にせず、私の吹き出したプリンの欠片をせっせと拭いていた。