も、もしかして?!
私、紅志に嫌われてんの?!
いつから?もしかして最初から?え?!

それともベースが下手だから呆れられてる?

それともこの前彼のギターケース、油断して踏んづけたのがバレたから?!

「ご、ごめんなさい!!岡崎さん許して~!」

「は?」

「えぇっ?!」

突然頭を下げた私に、紅志と海斗はポカンとした表情をしてこっちを見た。

「なに謝ってんの歌夜?」

目を丸くする海斗と、無言で私を見る紅志。
その二人の視線を浴びながら、私は小さな声で呟いた。

「いや最近、岡崎さんの様子が変だから、私なんかしちゃったかな、と……」

チラリと上目遣いでその顔を見てみると、紅志の苦笑いがそこにあった。

「お前の気のせいだろ、俺は別にいつも通りだ」

そう言って、私の頭をポンと一回だけ触ってソファから立ち上がった。

「わりぃ、煙草買ってくる」

「行ってらっしゃーい」

手を振って紅志の後ろ姿を見送った海斗、ドアがしまった途端にニンマリと笑った。

「な、なにそのキモい顔?!」

「へへ~ん、内緒だよ~ん!」

「え~!教えてよ!」

「やだよ~!自分で気付け」

どうやら海斗は何か知ってるみたい。
ニヤニヤ笑いながら彼は紅志のアコースティックギターを手に取った。

え?

そしてさりげない手つきでギターを弾き始めた。

弾けるの?!