少し躊躇った様子で、紅志は背後をチラリと見た。
数メートル後ろでは海斗と珪甫がなにやら爆笑しながらお喋り。私達のことはお構いなしだ。

それを確認してから、紅志は私の顔をジッと見つめてきた。

な、なに?!
そんな綺麗な顔近付けられたら私、気絶しますけど!

逃げ出したくなる衝動を押さえ、私は口を開いた。

「な、どうしたんですか?急に真面目な顔しちゃって……」

「歌夜、お前さ……」

やっと紅志が口を開きかけた瞬間。

ライブハウスの照明が落ちた。

「はい、プリズナーの皆さんお願いします!」

スタッフの声。

私と紅志の会話はそこで断ち切られてしまった。

えぇ~、メッチャ気になる!!





後ろ髪引かれる思いのまま私はベースを持ってステージへ。

今はライブに集中!

珪甫、私、紅志の順に出てから海斗が最後にマイクスタンドの前に立った。やっと4人揃ったライブ。4人での初ライブ!

嬉しい!!

心の中でニンマリしてたら、オーディエンスの中から。

「海斗ーっ!」

「紅志ぃ!カッコいい!」

などと黄色い声が聞こえた。

おぉっ!
ファンか?!ファンなのか?!

名前を呼ばれた紅志は当然のごとく、無反応。

しかし海斗は。