VOICE



「そう、だよね。ごめん、変なこと言って」

「いや、あんなすげぇの見たあとじゃ当然だって!でもな、もっとすげぇ奴らなんてごまんといるんだ。ここで怯んでたら負け犬になっちゃうぜぇ~!」

途端にからかうような表情になった海斗。

「なに?!負け犬だぁ?んなことにはなりませんっ!」

べ、と舌を出して私が答えると海斗は爽やか笑顔を見せて親指をグッと立てた。

「その調子!よし!じゃあ今日も気合い入れてくぞ!」

「やっぱりその仕草がオッサンくさいな……」

私は小さく呟きながら笑ってしまった。

でも……なんだかんだ海斗って優しいよなぁ。

私はほんわかした気持ちで、紅志たちと話し始めた海斗を改めて観察した。

普段はふざけた奴だけど、ちゃんと考えてるんだよね。見た目ふわふわした雰囲気で何も考えてないように見えるけど。

意外とリーダーに向いているのかもしれない。

落ち込んでたり悲しんでたりしてる相手に、ちゃんと気付いて、言葉をかけることは結構難しいから。

それができる海斗はやっぱり私より少し、大人で。カッコいい。

「なんか、悔しい」

一人呟いた言葉を耳ざといリーダーは聞いてた。

「なに歌夜?」

悔しいから言ってやらない。

カッコいい、だなんて。

「なんもないよ!エロおやじ!」

からかって誤魔化してみた。