彼らがステージを去るまで私は身動きできずに、ただただ胸に手を当てて立ち尽くしてただけだった。
ドキドキが止まらない。
客席側から観るライブって、生のライブってこんなに楽しいんだ!
まさに目から鱗。
「すごい……」
「お~すごかったな!今の!さっきのアキトさんっ、マジかっこよくね?!」
ニコニコして私を見た海斗の声。
「ボーカルの声も、すげぇな……」
感心したような紅志の呟き。
「あのベーシストくらい上手くなれよ」
私に皮肉を言う珪甫の言葉。
しか~し。
そんな言葉たちは私の耳を右から左へスルー。
私はといえば。
「……っスゴい!最っ高!楽しい!た~の~し~~いっ!!」
あまりに感激してしまって周りが見えなくなっていた私は、何も考えず大きな声で叫んでしまっていた。かなりの注目を浴びてしまった自覚は、ある。
直後、慌てた海斗と紅志が無理矢理私をその場から連れ去ったのは、言うまでも、ない……。



