VOICE



「――――ッ!!」


シャウトが私の耳に突き刺さった。


思わず耳を塞ぎたくなる位の声量!


なに、この声?!


海斗の声とは全く違う、真っ直ぐに胸に突き刺さってくる声。


小さなライブハウス、震えるくらいの衝撃が一曲目から私達を襲う。


あ!!


私はボーカリストの顔を改めて見て驚いた。
あの貸しスタジオでアキトさんと同じ台詞を吐き捨ててた人だったから。


だけどそんな驚きを打ち消してしまうくらいの、たたみかけるような、だけど正確にビートを刻むドラムとベースの音。
ダイレクトにお腹に伝わってきた。


クールな表情でスティックを振り下ろし、足元で地を這うような重いリズムを叩き出すアキト。


唇に笑顔を乗せたまま、重厚なのにどこか軽やかなベースを奏でるのは、瞳のくりっとした可愛い男の子。


か、可愛い!登に負けないくらい!


彼はグレーが基調のチェック柄のパンツを履いて白のポロシャツ、髑髏のイラストの入った黒のネクタイをゆるく揺らしながら指を動かす。そんな彼を見ながら、私はまた別の意味でショックを受けていた。


あの人のベース……凄く上手だ。


滑るように弦の上を指が動いてる。あんなの見たら、自分の腕はまだまだなんだって思い知らされる。