ステージの上手から、さっき私を助けてくれたアキトさんがすっと出てきた。細身の黒いパンツとジャケット。襟元少し開けたシャツをインしてる。髪もセットされててさっきよりすっきりとして見えた。 私がポーッと見とれてると、その後ろから二人。ベーシストと、ギター兼ボーカルみたいだ。 そう観察している間にも3人は楽器を構えて準備万端。 あれ?そう言えば私って、バンドの演奏を客席でちゃんと聴くのって初じゃない? ――カッカッカッ。 スティックでカウントする音が聞こえた。 次の瞬間―――