VOICE



すごく悔しそうな表情を見せた紅志に、私は慌てて首を振った。

「謝らないでくださいっ!岡崎さんは全然悪くないんだから!ね?」

こんなふうに落ち込んでる紅志を見るのは初めてだったから、私は慌てた。

「何?なんかあったわけ?」

話が見えない珪甫は首を傾げて私達に質問を投げかけてきた。その珪甫に海斗が小声で説明を始めた。

その様子を目の端に捉えながらも、私は紅志にいつも通りの笑顔を見せた。

「ほらぁ~!岡崎さん!気にしないでください!ライブで仕返ししてやりましょう!ね?」

そう。あんなヤツ、殴る価値もない。
音楽で負かしてやればいいんだから!

そう考えた私はますますやる気が出てきた。

「よぉ~っし!今日はBLACK NOISEの客、全部奪ってやる!」

そう言って拳をグッと握った私を見て、紅志は少し微笑んだ。

「そうだな、そうするか」

「なになに?何がそうするって?」

珪甫を引っ張って私と紅志の間に顔を出した海斗に私は言った。

「海斗!今日のライブ、今までで一番カッコ良くやっちゃってよ!」

「な~に言ってんの?俺様いつでも最高だろ~?」

そう言ってにっこりと爽やか笑顔を見せた海斗だった。