VOICE



その後アキトさんは、自分のバンドのリハがあるから、と私たちにニッコリ笑ってステージへ向かって行ってしまった。

彼も今日、対バンに参加するらしい。

後に残された私たちは、とりあえず外に出ることにした。

「ごめんなさい、私が気を付けてなかったから」

狭い裏口を出た途端、私は海斗と紅志に向かってぺこりと頭を下げた。

「え?なに謝ってんの?」

驚いた海斗が立ち止まって私を見てる。紅志もその隣で怪訝な顔をしてる。

外で待ってた珪甫が私達の様子に気づいて近付いてきた。

「だって……、私がもっと注意して、気を付けてたら隙をつかれてあんなこと」

「ばぁか。歌夜は全然悪くないっての。今日アイツがここに来るって分かりきったことだったのに」

苦々しい表情で吐き捨てた海斗の言葉を継いで、今度は紅志が口を開いた。

「バンド仲間を守るのは当たり前、ましてやお前は女の子だろ?俺達が守るのが当然だ」

ふっ、と短い溜め息をついた彼は私の頭に軽く触れ、ポンポンとたたく。

「ごめんな、歌夜」