……スゴい。
あまりの恐ろしい変貌ぶりに私は口をぽかんと開けたまま、目の前に立ってるお兄さんを見てた。
ていうか!
「あ、あの!ありがとうございました!た、助かりました!」
慌てて頭をペコリと下げた私。
顔を上げると、さっきの穏やかな表情に戻った彼が、唇に笑みを浮かべながら、フゥッと息を吐いた。
「いやいやいや~、危なかったね。ああいうヤツ最低だ、キミ可愛いんだから注意しなさいね~」
ピシッと人差し指で私の鼻先を指差した。
あのコワい顔はどこに隠したの?っていうくらい優しい表情で。
「す、スイマセン!以後気を付けます!」
思わず背筋をビシッと伸ばして気をつけ、した私を見てお兄さんはブッ、と吹き出し笑い。
……よく笑う人?
「ははっ!キミ面白いね~!いいな~」
「え?それ褒めてんですか?バカにしてんですか?」
私はぼそりと呟いた。
そんな時。
「歌夜ー!?歌夜いるか?!」
「おーい、歌夜ぁ~!隠れんぼしてんのかぁ?」
紅志と海斗の私を呼ぶ声が聞こえた。
「お。仲間が迎えに来てくれたみたいだな」
彼は楽屋の入り口から顔を出して、声をあげた。
「お探しの姫はこっちだよ、お二人さ~ん」



