「人のことより自分の演奏の心配してろよ」
じろりと横目で私を見た珪甫、短めの髪をツンツン立てて、上下黒のジャケットとパンツで決めていた。
「ムッ!私はちゃんと岡崎さんに特訓受けたから大丈夫ですぅ~!」
べ~っ、と舌を出した私に、ダンッとドラムを一発叩いて珪甫もべ、と舌を出してきた。
そんな私達を見ていた紅志がぶっ、と吹き出した。
「お前らガキだなぁ」
「岡崎さん!私とケイを一緒にしないでよ!私はもっと大人なんですから!」
私が胸を張って口を尖らせると、横から海斗が。
「大人ねぇ?カラダだけ育って中身はまだまだガキんちょだろ~?」
腕を組んで私の頭から足元まで視線を二往復。
「……ヤラしい目でみんな!!この、エロオヤジが!」
私はステージから飛び降りながら海斗に蹴りを飛ばした。
「キャーッ!助けて~!紅志ぃ~、珪甫~!」
海斗はバタバタと走り出した。
そんな海斗をガシッと捕まえた紅志、私に向かって言った。
「歌夜、好きなだけヤレ」
「了解です!」
私はニヤリとほくそ笑んで指をほぐした。



