帽子を取り合って、じゃれ合い始めた海斗と紅志を、私は笑いながら眺めてた。
さっきまで泣いてたのも忘れて。
「歌夜」
名前を呼ばれて振り向くと、バツの悪そうな顔をした珪甫が立っていた。
「ごめん」
「え?!」
「アイツに、怒られた」
「アイツって……海斗?」
コクン、と頷いて珪甫は、拗ねたような眼差しを海斗に向けてた。
その横顔がめちゃくちゃ子供みたいで、私は我慢できずにプッっとふき出してしまっていた。
「なっ?!なに笑ってんだよお前!!」
「だって!かっ、可愛いんだもん!」
「かわ……?!なんだそれ!?やめろよ!笑うなっつーの!」
真っ赤になって怒り出した珪甫と、大笑いする私。
「え?なになに?なんで歌夜笑ってんの?」
海斗が気付いて目を丸くしてる。
その横で、紅志が穏やかに笑ってた。
「やっぱ、笑顔のが似合う」
「え?岡崎さん、何か言いました?」
私が訊くと、別に、と笑顔で答えた紅志だった。
そんな私たちの笑い声は、誰もいない校庭に響き渡ってた。



