VOICE



「……俺さ、この高校通ってた時、一回バンド投げ出したことあったんだ」

「え?」

私の問い掛けには答えずに、クルッと校舎の方を振り返って紅志はいきなり話し始めた。

「初めてバンド組んだんだ、高校入って。中学からの仲間だったんだけどさ……最初は楽しかったんだ。好きなロックができて、ライブもたまにはやれて」

チラリと私を見て一瞬だけ苦笑いを見せた紅志。

「けどさ、アイツらはだんだん音楽の中身よりも、いかに自分達をカッコ良く見せてモテるようにするかってことしか考えなくなった。俺はそれが嫌で仕方なくて、逃げたんだよ」

私は戸惑ってた。
なんでこんな話するんだろう?

「ライブやる当日にさ、もう我慢できなくなって。バックレてそのまま辞めたんだ」

ふふっと、紅志は鼻で笑ってから私を見た。
最低だろ?って呟きながら。

「そんな……だって、岡崎さんはその人達とやるのが辛かったんでしょ?だったら……」

「それでも、いきなり放り出すって最悪だろ?」

「………」

私は何も言えなくなってしまった。