「あ、歌夜だ~。どしたの?」
慌てて防音扉を閉じた私の様子を見て、海斗が声をあげた。その横には紅志がギターを片手にスツールに軽く腰掛けてる。二人ともきょとんとした顔で私を見た。
「いやなんか今、面白いモノを見た、ような?」
「面白いモノ?なんだそりゃ?シロクマとか?」
「は?なんでシロクマ?!」
「じゃあアライグマ?」
「………。ねぇ岡崎さん聞いて聞いて!今廊下でね」
「あぁ~っ!ごめんなさい歌夜ちゃん!お願いだからスルーしないでぇ!」
海斗が私の腕を引っ張って泣き真似をした。
私はじろりと海斗をひと睨みしてから、肩をすくめて今廊下で見たことを話した。その話が終わる頃、私の背後でドアが開いた。
「あ、珪甫!お前遅いぞ~!」
「5分くらいいいだろ、ここ遠いんだよ俺んちから」
口を尖らせて海斗に舌をだす珪甫。
「ケーイ、その5分で一曲練習できるだろ。スタジオだっていつでも使えるわけじゃないんだ」
「……ごめん」
厳しい言葉で珪甫を諫める紅志の声に、素直に謝った珪甫。
さすが!紅志かっこいい!
心の中で呟いた私だった。



