溺愛されてもわからない!


「女の子たちの連絡先がーーー!」

ごめん。
本当にごめん。
申し訳ない。

「おばあさん。大丈夫?」
私はおばあさんの傍に寄って立ち上がらせ、一夜は自分の割れたスマホとおばあさんのトートバッグを持ち、ショックて立ち直れない顔で戻って来た。

ごめん。

和服に割ぽう着スタイルのおばあさんは、何度も何度も私と一夜に礼を言う。

「おばあさん。ケガしなかった?」

「ええ。私はこのとおり……」

このとおり……ネンザしたね。
足を引きずってるし
痛そうだし。

こうなったら最後まで面倒みようと
腹をくくった一夜がおばあさんを背負い
私達はおばあさんの家まで送る。

おばあさんの家は商店街の端にある
たい焼き屋さんだった。

ちょっとそこまで
手紙を出しに行こうとしていて
悪いヤツに狙われて
バッグを盗まれてしまったお話。

「盗みは社会のゴミです」
堂々と言うお義兄様。

私達のお父様は極道の組長ですけど。

それはオッケー?