「大丈夫ですか?」
私より後に来た一夜の後ろポケット。
そこには半分顔を出したスマホ。
高そうなスマホ
きっと最新機種。
重さも大きさもちょうどよい。
「貸してね」
私は一夜のポケットからスマホを奪い
近くのポストに手を付いてジャンプして上り
犯人の背中を捕えた。
そして
左足を軸にして身体を一度後ろにそらし
狭いスペースの中
今度は右足を踏み込ませ
ブーメランのように
一夜のスマホを思いっきりスピンして
犯人の頭をめがけて飛ばすと
おぉ完璧!命中!
スマホが犯人の頭にヒット!
これは痛いわ。
しかも回転かけたからガッツリ当たったはず。
子供ブーメランコンテストの優勝者なめんなよ!
犯人はその場で『すいませーん』叫び、おばあさんのトートバッグを放り出して逃げてった。
いい仕事した私。
一夜のスマホは壊れたな
ごめん。



