「どうせいなくなるもん」
月夜が泣きながら小さな声でつぶやいた。
「えっ?」
「おかあさんは俺を捨てて出て行くものなんだもん。きっとツバキもいなくなるもん。ブスなすみれもいなくなるもん。だから……いなくなるなら……最初からいなくていいんだ」
そして号泣。
うぁーんって泣きまくる幼稚園児。
マズい。
私が泣かしてるみたいに思われる。
ってゆーか
そうか寂しいのか。
寂しいよね。
失いたくないから期待はかけれないのか。
こんな小さいのに
寂しくてつらかったんだね。かわいそうに。
「おとうさんはお仕事で、お兄ちゃんはおでかけばかりで、俺はいつもひとりだもん。だからもうずっとひとりでいいんだもん」
真面目な仕事人間の和彦さんと、女遊びが激しい義兄の生態が見えてくる言葉だ。
こんな小さいのにかわいそうに。
私は月夜の頭を優しく撫でる。
「椿さんと私はどこにも行かないよ。もうずっと月夜の傍にいる」
「……うそだ」
「本当だよ。指切りしよう。うちのお母さんは子供好きだから大丈夫。月夜の事も可愛がるよ。今度甘えてごらんよ喜ぶから」
「俺は甘えるキャラじゃねぇ!」
はいはい。
甘えない幼稚園児も怖いけどね。



