溺愛されてもわからない!


私はまだ泣いてる月夜の前に腰を下ろし
その涙目を覗き込む
すると幼稚園児は生意気にプイと顔を横に向けた。

おーおー
生意気に男のプライドってやつかい?
プププと笑うと丸いぽっぺがまた怒りでふくらんだ。

ごめん。

「どうしたの?」
優しく聞くと目に涙を浮かべてるし

「幼稚園でいじめられたとか?」

「そんなガキじゃない!もう俺はキリン組だっ!」
ムキになって言う月夜。
キリン組がそんなに偉いのかわからんが
とにかく話を聞いてやりたい。

「お母さんが気に入らない?私が嫌い?」
いきなり他人が自分の家にやってきたら
まだ人生5年ぐらいしか生きてないんだもん、パニクるよね。

ごめんね。

「えーっと……あのね……」
何て言えばいいのかな
わかりやすい言葉を探して
どうにか和解したいと思ったら

「『ツバキなんてキライだ』っていったら、お父さんに怒られた」

ってまた涙ぽろぽろ。

そうか
うちのお母さんが嫌いなんだ
天然だけど
あの優しいお母さんを嫌うなんて
うちのお母さんは誰にでも好かれるタイプなのに

きっと私の事はもっと嫌いなのかな。

なんちゅーか
けっこう悲しい。
胸がギュッとしちゃう。