溺愛されてもわからない!


声と同じく
柔らかい髪が陽ざしを浴びてキラキラしてる
甘い香りと甘い声
優しい王子様フェイスの一夜。

「ここに来て、一年経つんだなぁ……って思ってた」

「早いよね」

「うん」

一夜は私の肩に手を回し
私の身体を引き寄せる。

「最初ね、一夜が大嫌いだった」

「そうなの?」

「だって人のベッドに入り込むし、ファーストキスを奪うし」

「田舎のニワトリと間違えて、僕の腕をガッツリ噛んだよね」

「……うん」お腹空いて夢みてた。

「僕もすみれちゃんが嫌いだったよ」

「本当?田舎者だから?」

「じゃなくて、財産目当ての結婚と思ったからさ。お母さんもすみれちゃんも嫌いで、追い出そうと思ってた」

一夜はやっと素直に
『椿さん』じゃなくて『お母さん』って、本人が居なくても呼ぶようになった。
自分の中で認めたんだね。

「わりと悲惨な家庭だったからさ、他人が入って振り回されるのは嫌って思ったけど、お母さんとすみれちゃんが来て月夜が寂しい顔をしなくなって、家の中が温かくなった。お母さんには感謝している」

そう言いながら「我が家で一番怖いけどね」って苦笑い。

「すみれちゃんは、今までにないタイプの女の子で面白かった。面白くて目が離せなくて惹かれて、いつの間にか愛しくなってさ。コロコロ変わる表情が可愛くて、誰にも渡したくないって初めて思った」

あらためて言われると
恥ずかしくなって顔が熱くなる。