溺愛されてもわからない!


「今、お医者さんを呼ぶからね。一夜、はっきり断れよ」

「わかってる」

え?断る?
ふたりの会話に驚いて顔を見ると

「彩里さんはうちの嫁に合わない」
お父さんが私に説明。
そうなの?

「だって、可愛いし賢いし幹部のお嬢さんなんでしょ?」
断ったらヤバいんじゃない?

「たとえ可愛いお嬢さんでも、人をおとし入れようとする子はダメ」

「でも、可愛くて気に入ってたと思った」

「すみれちゃん。うちの組長さんは山あり谷ありで、すんごい修羅場を潜り抜けて色んな人達を見てるんだよ。会っただけでどんな子かすぐわかる」

一夜が笑ってそう言うと
お父さんは「組長言うな!」と、マジ怒り。

「彩里さんは可愛いよ。可愛い顔してる仕草も可愛いかった。でも、うちのすみれの方が顔も性格も100倍可愛い」

顔は絶対違うでしょう。
でも……嬉しい。

「だから断ってくる。それが大切な話」

一夜がそう言って
お父さんと目配せして笑ってたら
お父さんの胸ポケットから携帯が鳴り、一夜が出ると月夜からの電話だった。

これから帰るという話。

どうしたの?寂しくなったのかな。
楽しみにしていたお泊りなのに。

「わかった。誰かに迎えに行かせる。うん、わかったそれも伝えておくから、大人しく待ってなさい」

お父さんとお母さんと私で
電話を切った一夜に注目すると

「お姉ちゃんが心配なんだって。『これから家に帰って、今日は俺の部屋でお姉ちゃんを寝かせるから、布団の用意しておいて』……だって」

みんなで爆笑。
笑いながら泣いちゃう。
月夜まで……本当に……もう、みんな心配しすぎだよ。