ちょっと間を開けてから
一夜はお父さんの顔を見て
「出かけようと思ったら、すみれちゃんの体調が悪そうで、今はすみれちゃんを部屋まで運んでベッドに寝かせる予定」
サラッとすごい嘘を付く。
すごい
すごいわお義兄様。
反射的にそんな嘘が出るなんて
賢いというのか
怖いというのか
すごいわ。
するとお父さんは「ほら自分の思った通りだ」って、勢いつけて私達に向かって走って来て、一夜から無理やり私を奪って抱きかかえる。
「どこか痛い?めまい?吐きそうかい?病院に行こうか?医者呼ぼうか?熱は?かわいそうに。椿さん、自分が正解でしたよ!」
お父さんは半泣きで私に言う。
圧倒しかない。
「そうね。帰って来てよかった」
階段の下からお母さんの声も聞こえ
一瞬目が合ったけど
避けてしまう私。
なんか
お母さんには全て見透かされてる気がするのです。
「一夜はもういいから出かけなさい。今日は大切な日だろう」
「そう……だね。行くよ」
えっ?行くの?
彩里さんとデートに行くの?
お父さんにお姫様だっこされながら、私はすがるような目で一夜を見ると、一夜は苦笑いでお父さんと顔を合わせた。
やっぱり行くんだ。
さっきまで私にあんなキスをしておいて
やっぱり彩里さんが大切なんだね。
胸が苦しくなって
お父さんのスーツをギュッとつかむとお父さんは「すみれ?」って心配そうな声を出す。



