溺愛されてもわからない!


泣き顔を見られたのが悔しくて
焦って半分流れた涙を拭いてたら
一夜は私の抱きかかえているクッションを奪って放り投げ、ギュッと強く私を胸に抱く。

「泣き虫を置いて行けない」

「泣き虫じゃないもん」

もういいよ
優しくしないで
早く彩里ちゃんの元へ行って。

一夜の胸から離れたくて
身体をバタバタ動かし抵抗しようとしても
一夜の力は強く
私の身体を離さない。

「どうして夢と別れた?」

さっきまでの甘い声じゃなく
怖いくらい真剣な声を出す。

きっと
顔も怖い顔してる。
綺麗な顔は怒ると怖い。

「答えなさい」

「言えない」

「どうして『さよなら』言われた?僕の存在が邪魔?誤解があれば僕から夢に話してあげる」

「違うの。私が悪いの、私が夢君の気持ちを受け止めれなかった」

「どうして?」

怒ったような乱暴な声を出し、一夜は私の身体を解放してくれたけど、今度は両肩をきつくつかみ、ジッと私の目を見る。私は一夜の顔を見れなくて目をそらす。

「こっち見て」

「嫌だ」

「すみれちゃん!」

「嫌だ。もう遅いんだもん。私は一夜が好きなんだもの、だから夢君と付き合えないんだもん」

私は大きな声で一夜に言い
一夜は私の衝撃の告白を聞き
手の力を緩め脱力状態。

言っちゃった。

このタイミングで言っちゃった。もう……私のバカ。このシチュエーションは違うでしょう。もっと落ち着いて話をしながら……ってゆーか、夢君に励まされて元気注入されて、突っ走ろうと思ったけれど、やっぱ無理無理無理ってさっき思っちゃって、この気持ちは深く深く穴など掘って埋めてしまえーって思っていたぐらいで……もう……ヤダ。