溺愛されてもわからない!


「行ってらっしゃーい」
震えそうな声を抑え
お腹から声を出して送り出す私。

「留守番頼むね」
一夜の声を聞き
私はクッションを抱きしめて唇を噛む。

居間の扉が閉まった音が聞こえた。

一夜は行ってしまった。
彩里ちゃんの元に行ってしまった。

クリスマスイブなのに
ひとりぼっちの私。
自業自得。

一夜は彩里ちゃんに
どんなキスをするんだろう。

ダメだ泣ける。
いいよ誰もいないから泣こう。
泣いてスッキリしよう。
泣いて一夜を忘れよう
一夜はもう彩里ちゃんの彼氏なんだから。

クッション持って
むくっと起き上がりボックスティッシュを探したら「はい」って後ろからティッシュが現れた。

「ありがとう」
探してたんだよ……じゃなくてっ!

驚いて振り返ると
一夜がティッシュ片手に立っていた。

「なんでいるの?」

「行ってないから」

「だって扉が閉まる音がしたんだもん」

「開けて閉めて戻る」

得意気にソファを乗り越え
私の隣にストンと座る。