溺愛されてもわからない!


白いシャツの上にザックリとしたキャメルのセーター黒のスキニー、黒のチェスターコートを手にして長くなってきた前髪をかき上げる。

長身で上品な顔立ち。
柔らかい優しい表情は王子様そのもの。

「ひとりで留守番大丈夫?」

「月夜じゃないし」

「僕にとって月夜もすみれちゃんも同類」

軽い口調でそう言って
居間の時計をチラ見。

「カッコいいよ。お義兄様」

「とーぜん」

優しく笑って私を見る。

クリスマスデートなんだね。
彩里ちゃんとツーショットデート。

どこに行くのかな
どんな話をするんだろう
将来の話かな
婚約とか結婚とかかな
手とか繋ぐのかな
キスとかしちゃうのかな
「好き」って言うのかな。

ダメだ悶々する。
自分の好きな男子が別の女子とデートするって、キツいわー。それを明るく見送らなきゃいけないって、もっとキツい。早く送り出そう。

「行ってらっしゃーい。頑張ってねー」
私は大きな声で言い
背中を向けてゴロリとソファに横たわり
クッションを抱きしめ顔を埋める。

早く行っちゃえ。

「彩里さんに大切な話があるから頑張ってくるよ」

一夜の声が心に突き刺さる。

大切な話。
きっと将来の話。婚約の話。