溺愛されてもわからない!



クリスマスイブのその夜は
みんなバタバタ忙しい。

ぼーっとソファに座って動きを見てると、大きなテレビを観ているようで別世界。

お母さんはふわっとした薄いピンクのワンピに紺色のジャケット。童顔なのでJKの娘がいるとは思えないくらい若く可愛い。

「忘れ物はない?お泊り大丈夫?」
月夜の持ち物チェックしながら、優しく話しかけていた。

お父さんもお母さんに合わせたように、薄いピンクのシャツに光沢のあるネイビーのブランドスーツ。お似合いです組長。そのスーツに私のクリスマスプレゼントのネクタイを着けている。安くてゴメンね。でも渋い赤が似合ってるよ。さっき渡したらとても喜んでくれて、すぐ着けてくれた。

お母さんも月夜も渡すと喜んでくれて、月夜は今日のお泊りリュックに入れてリュックをパンパンにしていた。

「月夜を送って、まっすぐ食事に行ってすぐ帰って来る。寂しくなったら遠慮なく電話してほしい。すぐ帰るからね」

心配性のお父さん。
大丈夫よ。カップめん食べてテレビ観てるから。

「明日は家族で楽しみましょうね」

お母さんはそう言い
月夜は私にバイバイして
お父さんはまだ心配な顔をして
猫のネクタイを着けた
田中さんの車に乗り込む。

田中さんも楽しんで来てね
あとから
癒し系ネコの画像を送ってもらおう。

さてさて
誰も居ない家にひとり

この家って
こんなに広かったっけって思うくらい。

やっぱりぼーっとソファに座って
テレビを流していると

「みんな出た?」
一夜が自分の部屋から降りて来た。

ひとりじゃなかった
一夜はこれから彩里さんとクリスマスデートだった。